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便秘

『慢性便秘症診療ガイドライン2017』では、便秘症を「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と実臨床で使いやすいシンプルな定義にした。

 

32年ぶりの新薬登場として話題を呼んだのは2012年に発売された「アミティーザ」。17年になってさらに「リンゼス」「スインプロイク」が登場。18年には「グーフィス」が加わり、18年末にはさらに1種類の登場が見込まれている。

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診断と治療

ブリストル便性状スケール

(Bristol stool form scale)

で4-5になるように調整する。

アミティーザ

2カプセル分2 朝夕食後

1C24μg 妊婦は禁忌

リンゼス

1日1回2錠食前

1錠0.25㎎ 腹痛に効果的

グーフィス

1日1回2錠食前

1錠5㎎

スインプロイク

1日1回1錠

麻薬との併用
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30年ぶりに、「アミティーザ」、「リンゼス」とも、薬剤の作用機序としては今までにないもので、「上皮機能変容薬」というクラスに属しています。

 

酸化マグネシウムは腸内で炭酸水素マグネシウムとなり、浸透圧維持のため腸壁から水分を奪い、便を軟化することにより排便を容易にします。

標準的薬剤です。1錠(330mg)を3錠分3 食後を基本とします。

胃酸を低下させるPPIなどと併用すると、PHがUPしているため炭酸水素マグネシウムになれずに効き目が低下することがあります。

腎機能の悪い人では、高マグネシウム血症が生じます。高マグネシウム血症があらわれ、呼吸抑 制、意識障害、不整脈、心停止に至ることがあります。 悪心・嘔吐、口渇、血圧低下、徐脈、皮膚潮紅、筋力低下、 傾眠等の症状の発現に注意するとともに、血清マグネシウム 濃度の測定を行うなど十分な観察を行いましょう。

 

センナという成分は、腸管を刺激し蠕動を促進することにより、下剤としての効果を発揮します。

 

胆汁酸トランスポーター阻害薬 (グーフィス)

エロビキシバットは回腸末端部の上皮細胞に発現している胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制することで、大腸管腔内に流入する胆汁酸の量を増加させる。。胆汁酸は、大腸管腔内に水分を分泌させ、さらに消化管運動を促進させるため(Dual action)、エロビキシバットの便秘治療効果が発現する。

グーフィスは食事により吸収量が3~5倍になってしまい、このため用法は1日1回食前です。

また、食前の理由はこれだけではなく、グーフィスは胆汁酸分泌抑制により効果を発揮するため、食事により胆汁酸が分泌されてしまう前に服用したほうがより効果を発揮できるようです。

本薬の使用にあたっては、ウルソデオキシコール酸(ウルソ他)などの胆汁酸製剤の再吸収を阻害し、胆汁酸製剤の作用を減弱するおそれがあることから併用注意となっていること、さらに既存の下剤と同様に器質的疾患、特に腫瘍、ヘルニア等の腸閉塞が確認されているまたは疑いのある患者に対しては腸閉塞を悪化させる可能性があることから禁忌となっていることに十分留意しておく必要がある。

 

アミティーザについて

 

アミティーザは小腸の粘膜上皮にあるクロライドチャネルという場所に作用し、クロライド(Cl-)イオンを腸管内に移行させます。それに伴いNa+イオンもCl-に引っ張られ、受動的に腸管内に移動することで、結果的に腸管内に水が分泌されます。 

図をご覧ください。

 

 

 

 

水分が分泌され便が軟らかくなる仕組みです。

 今までのマグミットなどに注意を要する、

腎臓の悪い方への投与や高齢者にも使用でき、

また刺激性下剤とは異なり、

長期投与に伴う副作用がかなり少ないとされています。

 

小腸で水分を多くするので、大腸では自然に水分が吸収されます。

そのため強烈な下痢の副作用は少ないです。また、食物があってこその水分なので食後に内服します。大腸で水分を引く酸化マグネシウムとの併用も可能です。また保水のコロネルなどとの併用も可能です。

マグミットを多量に飲んでいた患者さんには、

マグミット1g+アミティーザ1C夕食後+コロネル 3Tあたりから徐々にアミティーザをUPするのがいいかもしれません。

  

内服初期には、小腸内容が増加することで、吐き気や腹部の不快感が出ることがあります。これは数日で改善します。

高齢者でも安全性が高く上手に使えば有用です。

 

なお、

妊婦さんには使用できませんので、

注意が必要です。

 

 

リンゼスについて

 

リンゼス(リナクロチド)が腸管上皮細胞に作用し、

水分分泌を促進することで便通を改善します。

リンゼスぱアミノ酸が並んでいるポリペプチドです。
リンゼスの作用機序のcGMPを増加させ、

水分分泌…どこかで聞いたことあると思ったら、

コレラ菌とか大腸菌が産生するエンテロトキシンによる作用です。

エンテロトキシンはペプチドであり、

GC-Cを刺激する部分が解明されたため、

その部分をうまく利用したのがリンゼスだそうです。

構造を比較するとほとんど同じ配列です。

小腸と大腸の両方の腸管で水分が多くなります

その分下痢になる有害事象が出やすくなり注意が必要です。

1日1回食前に内服です。

 

 

 

 

リンゼスはその内臓痛覚神経線維にも作用し、

痛みや不快感を改善するとしています。

 

この作用こそが、

「便秘型過敏性腸症候群」に有効と

認められた部分です。

 

今までの便秘薬には便を出しやすくするだけで、

腹痛や腹部不快感の症状を、

和らげる作用はありません。

その面では、

リンゼスの存在感は他の便秘薬と異なり、

際立っていると思われます。

 

しかし実際には、

便秘型の過敏性腸症候群の患者さんに使用して、

効果が見られることが多くあります。

 

過敏性腸症候群の痛みや不快感は、

かなり個人差が大きい病態ですので、

この1種類で解決する問題ではありません。

 

 

 

 

問題は新薬の薬価

 

リンゼスは1錠 あたり薬価89.9円。

標準量は1日2錠で179.8円/日。

(お支払いはこれの1割~3割負担になります)

 

またアミティーザは1カプセル123円。

1日2回内服するので、246円/日。

 

これの3割負担として1日73円ほど、

1ヶ月にすると2190円になります。

 

これに比べてマグミットは薬価で1錠5.6円。

1日3錠でも16円程です。

これを3割負担では1月たったの151円ほどです。

  

つまりマグミットを基準に考えると、

リンゼスで約10倍の値段、

アミティーザでは15倍になります。

  

従っていいお薬だから過去のものをすてて、

新薬に置き換わるというのはしばらくの間は無さそうです。

マグミットで効果があればそれが1番です。

 

 

https://www.yoshiokaclinic.com

吉岡医院  吉岡幹博

使い分け

アミティーザやリンゼスは水分分泌促進だったのに対し、グーフィスは水分に加えて蠕動運動を亢進させてしまうため腹痛が出やすい。

一方アミティーザは下痢の頻度も高いし、初期に吐き気も出やすい。食後に服用しないとさらに出やすくなる。

リンゼス:下痢13%、腹痛1-5%未満 (855例中)
グーフィス:腹痛19%、下痢15.7%、19% (631例中)
アミティーザ:下痢30% 悪心23%、腹痛6% (315例中)

初回投与から24時間までに排便があった患者数は

グーフィス:85.5%(プラセボ41.3%)
リンゼス0.5㎎:65.8%(プラセボ55.0%)
アミティーザ:58.1%(プラセボ30.6%)


直接比較ではないものの、

若干グーフィスのほうがよさそうでしょうか。

ポリフル コロネル

ポリカルボフィルカルシウムは、

酸性条件下でカルシウムを脱離することから、

胃内でカルシウムが脱離してポリカルボフィルになり、

ポリカルボフィルは、

小腸や大腸のような中性条件下で高い吸水性と保水性を示し、

吸水に伴い膨潤・ゲル化します。
 

下痢時には、ポリカルボフィルが

増加した水分を吸収してゲル化することにより、

亢進した消化管内容物の通過時間を遅延させて

排便回数を減少します。

また、通過時間の遅延は便中水分の吸収を促し

便性状を改善します。

一方、

便秘時には、ポリカルボフィルが

消化管内で水分を吸水して膨潤し、

内容物を軟化もしくは容量を増加させることで

遅延した消化管内容物の通過時間を短縮させて

排便回数を増加します。

また、吸水した水分を保持することにより、

便中水分の減少が抑制されて便性状を改善します。


このように、ポリカルボフィルカルシウムは生体に吸収されずに消化管の内腔において内容物の性状を正常化させることにより便秘と下痢を改善すると考えられます。

コロネルは3錠分3食後で処方します。 

 

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外科丸
​GEKAMARU
外科丸らは、主に下部の消化器外科を専門領域としています。
そして、「健康的であり、誠実に接し、満足感ある医療を提供する。」ことをモット―として日々働いています。
​​群馬県伊勢崎市にて
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