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せん妄

 

せん妄予防のコツ    松本晃明        星和書店

 

キードラックたち

ベンゾジアゼピン系睡眠薬

 

ハルシオン          超短時間型

リーゼ     短時間型

レンドルミン

リスミー

 

サイレース     中間型

ユーロジン

 

セルシン       長時間型

 

非ベンゾジアゼピン系

マイスリー

 

その他

テトラミド        鎮静系抗うつ薬

 

セレネース        定型抗精神病薬

 

セロクエル   非定型抗精神病薬

リスパダール

 

 

​せん妄のリスクについて

 

  1. ベンゾジアゼピン系睡眠薬の常用は術後せん妄のハイリスクであり、術前の外来で減量し多剤に変更することが肝要である。

  2. 高齢者もハイリスクである

 

入院後の高齢者の不眠には

不眠時の指示  テトラミド 10mg 1T

入院時の定期処方  ロゼレム 1T 夕食後

ベルソムラ 1T 寝る前

過活動型せん妄の予防に

外来時にベンゾジアゼピン系の減量を図る

ハルシオンを1週ごとに半量にする

    +

入院時の定期処方  ロゼレム 1T 夕食後 ベルソムラ 1T 寝る前

 

過活動性せん妄が生じたら

 

➀セロクエル1T 内服 (1日3Tまで)

 

➁セレネース1A+生食100

入眠したらStop

ベンゾジアゼピン系の常用者には効果が薄く、③に変更すること

 

➂セレネース1A+サイレース1A+生食100

入眠したらStop

ベンゾジアゼピン系の常用者にはサイレースが必要

知っておきたい抗精神病薬について

<定型抗精神病薬>

ブチロフェノン系:セレネース・インプロメン・トロぺノンなど

フェノチアジン系:コントミン・レボトミン・フルメジン・PZCなど

ベンズアミド系:ドグマチール・バルネチールなど

 

<非定型抗精神病薬>

①SDA(セロトニン・ドパミン拮抗薬)

リスパダール(リスペリドン)

インヴェガ(パリペリドン)

ルーラン(ペロスピロン)

ロナセン(ブロナンセリン)

非定型抗精神病薬として初めに開発されたのがリスパダールになります。リスパダールが改良されたお薬としてインヴェガが作られ、日本を中心にルーランやロナセンも開発されました。

セロトニン2A受容体とドパミンD2受容体を同時にブロックすることで、陽性症状だけでなく陰性症状を改善するお薬です。このため、SDA(Serotonin-Dopamine Antagonist)と呼ばれています。

定型抗精神病薬と比較すると錐体外路症状や高プロラクチン血症が抑えられていますが、他の非定型抗精神病薬と比較するとドパミンへの作用が強いため、これらの副作用はやや多いといえます。

 

ドパミンよりもセロトニンをブロックさせるお薬が多いですが、ロナセンだけはドパミンにしっかりと結合するため、DSA(ドパミン・セロトニン拮抗薬)と呼ばれたりもします。

 

②MARTA(多元受容体標的化抗精神病薬)

ジプレキサ(オランザピン)

セロクエル(クエチアピン)

シクレスト(アセナピン)

これらのお薬はドパミンやセロトニンだけではなく、その他の受容体に広く作用するお薬です。このため、MARTA(Multi-Acting Receptor Targeted Antipsychotics)とよばれています。

作用する受容体としては、

アドレナリンα1受容体

ヒスタミンH1受容体

ムスカリン受容体

などがあります。

このように多くの受容体に作用するため、効果に厚みがあるお薬です。抑うつ・不安・衝動性などを抑える効果もあるため、様々な病気で使われます。

気分安定化作用も認められるため、双極性障害(躁うつ病)にも適応が認められているお薬が多いです。

しかしながら代謝への悪影響が認められ、シクレスト以外は糖尿病の患者さんには使えないお薬となっています。

③DSS:

エビリファイ(アリピプラゾール)

④SDAM:

レキサルティ(ブレクスピプラゾール)

​リスパダール

​肝代謝CYP2D6であり、パキシル、フェニトイン、フェノバルビタール使用時には注意。

​ジプレキサ

​DMでは禁忌糖脂質代謝系に対する作用で体重増加もある。

​エビリファイ

​総合作用や副作用の報告はまれで安全性が高い。

外科病棟で起こったせん妄の実例を紹介します。

 

実例1 87歳、男性

既往歴 アルツハイマー型認知症

常用薬 ベルソムラ1錠、アリヒプト5㎎ (抗コリンエステラーゼ剤、=ドネペジル5㎎)

ジェイゾロフト(抗うつ薬)

入院前の生活 認知症で意欲低下があり、不眠でもあったと推定される。

 

外科治療概略 上部消化管穿孔に対して保存的治療

 

第5病日に過活動性せん妄の出現

経口摂取不能時は リントンやアタラックスPのDIV

内服可能となり、リスペリドン1㎎内服で対応した。

 

せん妄後の定期処方

その後、アリセプトとドネペジルは継続、ベルソムラは20から15㎎へ変更し、リスペリドン1㎎の眠前定期処方とした。

 

実例2    84歳、男性

既往歴 認知症

常用薬 なし

入院前の生活 重度の認知症で施設入所中

 

外科治療概略 

 

過活動性せん妄の出現

リスペリドン1㎎内服で対応した。

 

せん妄後の定期処方

その後、リスペリドン0.5㎎の眠前定期処方とした。

 

 

実例3    78歳、男性

既往歴 脳梗塞、小脳出血

常用薬 デゾラム錠

入院前の生活 施設入所中

 

外科治療概略 小腸出血でIVRし腹膜炎、小腸部分切除術施行

 

第10病日に過活動性せん妄の出現

リスペリドン1㎎内服で対応した。

 

せん妄後の定期処方

不眠や抑うつ症状に対して、脳梗塞既往でせん妄を起こしやすい背景を考慮して、トラゾドン(25㎎)1錠から開始して2錠(50㎎)にて定期処方とした。

 

 

実例4 77歳、男性

既往歴 大腸がん

常用薬 なし

入院前の生活 正常。

 

外科治療概略 肝転移に対して肝切除術施行

 

第20病日に過活動性せん妄の出現

リントン(5)1A+生食100 1時間かけてDIV

 

ジプレキサ5㎎  夕食後

ベルソムラ15㎎ 寝る前。

 

せん妄後の定期処方

その後、

ジプレキサ5㎎  夕食後 

ベルソムラ15㎎ 寝る前。

 

 

実例5 80歳、男性

既往歴 脳梗塞、小脳転移にサイバーナイフ施行後

常用薬 クロチアゼパム2錠 (抗不安薬)

入院前の生活 軽度の認知症と屋内での生活PS2。

 

外科治療概略 横行結腸癌に対して右半切除施行

 

第14病日に過活動性せん妄の出現

嚥下困難があり リントンのDIV

傾向ができればリスペリドン1㎎の内服で対応

 

せん妄後の定期処方

その後、ロゼレム8㎎ 寝る前、リスペリドン0.5㎎の頓用を定期処方とした。

外科丸
​GEKAMARU
外科丸らは、主に下部の消化器外科を専門領域としています。
そして、「健康的であり、誠実に接し、満足感ある医療を提供する。」ことをモット―として日々働いています。
​​群馬県伊勢崎市にて
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