
私塾 外科丸学校
Private School Gekamaru Gakko

高血圧
医療機関の診察室などで血圧を測定したとき、「上の血圧が140ミリ以上、下の血圧は90ミリ以上」であると、一般的には高血圧になります。正しくは「収縮期血圧140mmHg/拡張期血圧90mmHg」と表します。
高血圧の状態を放置していると、動脈硬化を促進し、脳卒中や心疾患、あるいは慢性腎臓病などの重大な病気につながります。
とりわけ最近の研究から、脳卒中は男女を問わず高血圧の影響が大きいことが明確になっています。
脳卒中
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など
高血圧によって最もリスクが高くなるのが、脳卒中です。収縮期血圧(最高血圧)が10mmHg上昇すると、脳卒中のリスクが男性で約20%、女性で約15%高くなります。
脳卒中は命が助かっても、運動障害や言語障害が残りやすく、長期のリハビリが必要となることも少なくありません。
心疾患
心筋梗塞、狭心症など
高血圧は、心疾患のリスクも高めます。特に、男性の場合は影響が大きく、収縮期血圧が10mmHg高くなると、心筋梗塞や狭心症の危険度が約15%も増加します。
慢性腎臓病
血圧が高いと腎臓にも大きな負担がかかり、血液中のナトリウムなどの排泄がうまくいかず、さらに血圧が上昇する悪循環を起こしやすくなります。慢性腎臓病を起こすと、脳卒中や心筋梗塞による死亡率も高くなることがわかっています。
高血圧治療の基本方針
高血圧の管理においては、血圧値のほか、脂質異常や糖尿病、喫煙などの他の心臓血管系の危険因子や、心臓や腎臓、血管などの障害、心血管病の有無を調べ、心血管リスクを層別化(段階化)することが重要です<表5>。
新しいガイドライン(JSH 2009)では、危険因子の項目にメタボリックシンドロームが、臓器障害/心血管病に慢性腎臓病(CKD)が加えられました。
<表5>のように、軽度の高血圧で他の危険因子や心血管病がなければ低リスクですが、中等度の高血圧や、軽度でも他の危険因子があれば中等リスクです。高度の高血圧や、中等度の高血圧で他の危険因子がある場合や、軽度の高血圧でも糖尿病や慢性腎臓病、心血管病がある場合は、高リスクになります。
高血圧治療の目的は、心血管病を予防して死亡も減少させることです。<図3>でJSH 2009による高血圧管理計画を紹介しています。
当然のことですが、生活習慣の修正、つまり生活習慣のゆがみを正すことはすべての場合に求められます。生活習慣の修正でも血圧が高い場合は、降圧薬による治療が必要です。生活習慣修正だけで血圧を観察する期間は、低リスク群は3か月まで、中等リスク群は1か月までとされています。
血圧をどこまで下げるかは、患者さんの年齢や状態によって異なります<表6>。JSH 2009の目標血圧は、高齢の方でも140/90未満で、若・中年者は130/85未満です。ただし、75歳以上の方は150/90未満が中間目標になります。
また、糖尿病や腎障害、心筋梗塞の方は、130/80未満が目標血圧です。
血圧は低いほどよいことは、地域住民などを対象とした観察的な研究では明らかになっていますが、高血圧の患者さんを対象とした治療研究では、どこまで下げるのが最も効果的かは、必ずしも証明されてはいません。高血圧の治療が重要なのはいうまでもありませんが、目標血圧値は今後、変更されるかもしれません。
参考
http://www.ncvc.go.jp
https://www.healthcare.omron.co.jp
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