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関節リウマチ

 

診断基準

2010年に米国および欧州リウマチ学会(EULAR)が合同で新しい分類(診断)基準を発表しました(表)。この基準では、少なくとも1つ以上の関節で腫れを伴う炎症(滑膜炎)がみられ、その原因として関節リウマチ以外の病気がみとめられない場合に、①症状がある関節の数、②リウマトイド因子(RF)または抗CCP抗体、③CRPまたは赤沈、④症状が続いている期間、の4項目についてのそれぞれの点数を合計し、6点以上であれば関節リウマチと診断、抗リウマチ薬による治療を開始します。

​検査

関節リウマチの診断をするときに役立つ検査に、血清のリウマトイド因子、赤沈、CRP、手のエックス線写真があります。

 

リウマトイド因子(RF)は、関節リウマチの患者の80~90%で陽性となります。しかしリウマチ患者でも陽性とならない人もあり、また、関節リウマチ以外の病気の人や健康な人でも陽性となることもあります。RF陽性でもすぐ関節リウマチというわけではありません。症状がなく健康診断でRF陽性の場合は多くが偽陽性です。心配せずリウマチの専門医を受診してください。関節リウマチ早期では陰性のことがありますが、抗CCP抗体はRFよりも早期から陽性になるとされており、診断のつかない早期例には抗CCP抗体が検査の適応になります。 

関節リウマチの診断のために、また関節リウマチの進行や関節症状の進み方の検査として、関節のエックス線(レントゲン)写真、胸部のエックス線写真を定期的に撮影します。しかし最近はエックス線写真ではわからない変化がMRIや関節超音波(エコー)検査で検出でき、むしろこの時期に早期から治療することの重要性が言われています。超音波検査も簡単にできるよい検査です。 

マトリックスメタロプロテアーゼ3 ( MMP-3 )は関節中の滑膜組織からつくられる酵素で、関節炎がひどくなると、その量はより増加します。


赤沈やCRPも関節リウマチの炎症の程度を知る上で役に立つ検査です。 MMP3も軟骨の破壊が起こっている指標になりますが、MMP3はステロイド剤を使用しているとそれだけで上昇してしまいます。


関節リウマチの病勢が強いときには貧血がみられますが、治療によって関節リウマチが抑えられてくると貧血もよくなってきます。

参考

http://www.rheuma-net.or.jp

関節リウマチの治療薬

MTX :(メトトレキサート・メトレート・リウマトレックス・メソトレキセート)

1カプセルの含有量2mgで抗リウマチ剤のなかでもっとも確実によく効く薬なので、現在では世界的に抗リウマチ剤の第一選択薬になっています。

昔から抗がん剤として使われている薬ですが、抗がん剤として使われる量のおよそ100分の1の量を週1回~2回投与するだけでよく効きます。

MTXの投与量について

日本では、最大一週間に8mg(=4カプセル)までと決められていました。

最近やっと改訂され16mg/週までの投与が認められました。

服用する曜日を決めて週に4mg-8mg(2-4カプセル)の少量から開始し、効果の出るまで数ヶ月かけて増量していきます。

リウマチコントロールの目標は、炎症の強さをあらわす血液の数字CRPがある程度の指標になります。

MTXの副作用について

間質性肺炎(レントゲンで肺が白くなる)や白血球減少など危険な副作用が稀に起こるので注意が必要なのです。

また、投与開始後は3~4週後に血液検査をして副作用のチェックとCRPの下がり具合をみます。安定してくれば採血は1-2ヶ月おきに減らします。

他によくある副作用は、胃腸障害・口内炎・のどなど粘膜が荒れる・空咳・息苦しい・倦怠感・髪を洗ったとき毛が抜けやすい・内出血しやすい・生理の出血が止まりにくい・肝機能の数字の上昇などがあります。

副作用を抑えるために葉酸(商品名フォリアミン)というビタミン剤を服用してもらいます。

MTXと一緒に飲むと、抗リウマチ作用を減弱させてしまいます。

本院では、MTXを服用する日の前日と翌日に1錠(5mg)ずつ服用していただいています。

周術期の注意

整形外科以外の手術では、MTX12.5㎎/週以上ん投与症例では慎重な考慮が必要で、基本的には感染予防にため一時中断が望ましい。​

レフルノミド 商品名 アラバ1錠 10mg

服用法と効果と副作用

毎日1錠または2錠(お年寄りでは1日おきに1錠のことも)内服。

副作用は、MTXと同様の注意が必要です。

倦怠感、胃腸障害、肝障害、血液障害、脱毛、間質性肺炎が出ることがあります。

毎日服用を1日おきに減らす、または中止するなどしてもかまいません。

サラゾピリン 商品名 アザルフィジン1錠 500mg

服用法と効果と副作用

MTXと併用することもあります。

1日1錠から開始しだいたい1日2錠から4錠に増量していきます。

副作用として胃腸障害、下痢、咳、白血球減少などがあります。

やはり効いてくるのに1-2ヵ月かかります。

※サルファ剤アレルギーの方は服用できません。

ステロイド

プレドニン、プレドニゾロン 1錠 1mg(または5mg)

服用法と効果と副作用

以前は抗リウマチ治療の中心でしたが、最近では長期的な副作用が大きいためできるだけ使わないようになっています。

もっともこわいのは

  1. 骨粗しょう症とそれによる骨折です。

  2. ムーンフェース、脂肪がついて顔が丸くなること

  3. 胃潰瘍

  4. 糖尿病

  5. 大腿骨頭壊死

  6. 感染に対する免疫力の低下

  7. 傷が治りにくいなど、

1日5mg以下であればあまり心配はいりませんが、できれば3mg以下に抑えたいところです。

また、減量する場合1ヵ月から3ヵ月かけてゆっくり減らしていかないと、ひどい症状が出ますから急に止めたりしないでください。

骨粗鬆症治療薬

服用法と効果と副作用

大まかにいって50歳以降の日本人全体、特に女性は個人差はあるもののほとんど全員、骨粗鬆症になっていくと考えてください。

特にリウマチの患者さんは骨粗鬆症必発です。

したがって、全員最低限、カルシウムとビタミンD製剤のサプリメントが必要です。本来は市販のものの方が安価で飲みやすいと思います。

カルシウム単独でなく必ずビタミンDが配合されていることが肝要です。

とにかく長く続けることが重要です。

また、ステロイドを服用している 、子宮や卵巣の摘出手術をしている、胃を切除している、閉経が早かった方などは特にリスクが高いのでさらに強力な予防が必要です。

トヨファロール(活性型ビタミンD)

大まかに言って、60歳以降の日本人全体、特に女性はほとんど全員、骨粗鬆症になっていくと考えて下さい。

牛乳を飲んだり小魚を食べるのも重要ですが、それでもとても骨の老化には追いつきません。特にリウマチの患者さんは骨粗鬆症必発です。

ほぼ全員にトヨファロールという活性型ビタミンD製剤を処方するようにしています。

 

フォサマック・ボナロン(アレンドロネート)

アクトネル(リセドロネート)

カルシウムとビタミンDだけでは不十分な場合処方します。

1日1回空腹のときに飲むようにしてください。吸収が悪くなるので他の薬と一緒に飲まないようにしてください。胃腸に最ももたれやすいので、胃の調子が悪いときは中止して構いません。

エビスタ(ラロキシフェン)

フォサマックより胃腸障害がずっと少なく飲みやすいので、閉経後の女性にはこちらをおすすめします。乳がんの予防効果もあります。

血栓症の既往のある方は使用できません。ふくらはぎなどの筋肉痛がときに見られます。

フォルテオ

もっとも強力な骨粗鬆症の注射薬です。

重症のかたや、骨折の既往のあるかたに使います。

エンブレル・レミケード・ヒュミラ

生物学的製剤 抗TNFアルファ薬

投与方法は?

レミケードは点滴で投与します。入院は不要で、外来で点滴します。

2ヵ月に1回の間隔で点滴を続けていきます。1回の点滴に約1-2時間かかります。

エンブレル・ヒュミラは皮下注射で簡単に終わりますが、最低2-4週間に1回の通院が必要になります。指導を受ければ、自己注射もできます。

副作用について

発疹などの軽いアレルギー症状が他の薬剤と同じように起きることがありますが、抗がん剤のような強い副作用はありません。

最も重要なのは、免疫機能がやや落ちるため、結核・肺炎などの感染症を発症しやすくなることです。

使用経験の豊富な施設で投与を受けることが重要です。

本院は、単独施設として全国有数の投与経験があり大きな実績をあげています。

リウマチ生物学的製剤(エンブレル・レミケード・ヒュミラ・アクテムラ・オレンシア・シンポニーなど)の投与例は累積2722名、投与継続中970名以上(=2018年4月調べ)。

エンブレル 

以前、新聞に、エンブレルについての新聞記事が出ました。1万4369人の患者さんのうち79人のかたが亡くなられたという記事です。

エンブレル投与によりリウマチ患者の死亡率がかなり下がることが、これまで海外では証明されていましたが、今回の調査で日本でもはっきり証明されたわけです。

リウマチという病気は、単に関節が変形するというだけの単純な病気ではなく、全身の血管や組織に炎症を起こす重篤な全身病です。

癌のように治療しなければすぐに死亡するような病気とは違いますが、適切に治療できないと、徐々に全身を蝕み、衰弱させ通常よりかなり平均寿命が短いことがわかっていました。

その死亡原因の大多数は、肺炎などの感染症、と脳梗塞などの脳血管障害、心筋梗塞、骨粗鬆症による骨折および寝たきりなどです。

MTX+生物学的製剤エンブレル・レミケード(+少量のステロイド)はいまや特殊な治療ではなく、リウマチ治療のベストスタンダードである。というのが全世界の専門医の共通した認識になっています。

MTXとエンブレルの併用療法

海外のデータですが早期の関節リウマチ患者に対し、MTX単独治療とエンブレルとMTXを併用した治療を比較したCOMET試験の2年目の報告です。

COMET試験というのは、早期リウマチ患者のリウマチの活動性、関節破壊の進行度について、MTX単独治療とエンブレル+MTXの併用療法を比較した研究です。

リウマチ患者411例を対象に、臨床的寛解(症状が落ち着いて安定している状態)とレントゲンによる関節破壊の進行抑制について比較しています。

結果ですが、1-2年後に臨床的寛解を達成したリウマチ患者は、MTX単独群では<35%>だったのに対し、エンブレル+MTX併用群では<50%>に達しました。併用した方が、より効果があったということです。

日本人におけるデータも発表されました。

JBASIC研究グループから(Japan Biological Agent Study Integrated Consortium)、MTX単独で効果不十分な日本人リウマチ患者151例を対象に、エンブレル+MTX併用療法の有効性、安全性を検討した研究の、52週時点での成績が発表されました。

それによると、日本人でもエンブレル+MTX併用群で有意に関節破壊を抑制でき、症状と身体機能を改善することが明らかになりました。

EULAR基準改善度という指標を用いると、52週時点の「著効」の割合はエンブレル単独群が33.3%だったのに対し、エンブレル+MTX併用群では52.1%と併用群で著効する率が高いことがわかります。

さらに、トータルシャープスコアというレントゲンでの関節破壊の進行度を指標を用いると、エンブレル+MTXの併用により52週時点での骨びらん進行と24~52週での関節破壊進行が有意に抑えられていました。

身体機能評価についても、52週時点で併用群が単独群に比べて明らかな改善を示していました。

副作用の発現については、感染症に対する注意が必要ですが、併用群および単独群において、発生頻度に差は見られませんでした。

以上より、エンブレル+MTXの治療は、とても効果があることが改めてわかりました!

TNF阻害薬と周術期管理

創傷治癒遅延や感染予防に影響が予想される。最終投与から2-4週あければ問題ない。ただしインフリキシマブ(レミケード)は半減期が14日なので安全のため4週あけることが望ましい。

アクテムラ点滴静注用リウマチ注射治療薬

アクテムラ点滴静注用200mg(一般名 トシリズマブ)

サイトカインの働きをブロックする薬剤です。

「炎症性サイトカイン」は何種類もあるのですが、そのうちリウマチでの主犯が、TNFα(ティーエヌエフ アルファ)IL6(アイエル シックス)です。

レミケード・エンブレルとの違いは?

レミケード・エンブレルがTNFαというサイトカインをターゲットにするのに対し、アクテムラはIL6というサイトカインの働きをブロックします。

ですから、その2剤があまり効かなかった、または副作用で使えなかったかたでも、効果が期待できます。

投与方法は?

4週間に1回点滴します。時間は約1時間かかります。

費用は、1ヶ月あたり3割負担のかたでおおよそ2万円-4万円と考えてください。

エンブレルとほぼ同額になります。

副作用について

レミケード・エンブレルと同様、肺炎・結核などの感染症がもっとも要注意です。

レミケードなどと似た薬だと書きましたが、今まで見られなかった副作用もあるようです。

  1. 白血球減少

  2. 腸管穿孔(まれに)など

周術期管理

半減期は6日とされている。安全のため2週あけることが望ましい。

オレンシア(アバタセプト)

生物学的製剤 リウマチ注射治療薬

関節リウマチを発症すると、免疫が活性化して自分の体の組織を攻撃する結果、炎症という現象が起きています。

オレンシアは、異常な形で活性化した免疫システムを整え、正常な状態に近づける薬剤です。

レミケード・エンブレル、またアクテムラといった炎症性サイトカンを標的にした薬剤は、同時に感染防御に必要なサイトカインも抑えてしまうという点が懸念されます。

オレンシアはレミケード等にくらべ、感染防御にかかわる免疫システムには影響を及ぼしにくいという特徴があります。

そのため感染症のリスクが比較的少ない薬剤とされています。

安全性は10年以上欧米での使用経験の積み重ねで実証されています。

リウマチによる関節の腫れ・痛みや骨破壊に対する効果については、抗サイトカイン治療薬とほぼ同等とされています。

作用機序の違いから、エンブレルやレミケードなどで効果が不十分だった方にも試してみる価値のある薬剤です。

投与方法は?

皮下注射-炎症の強さに応じて、毎週1回もしくは2週に1回程度の間隔でおこないます。

点滴による投与も可能です。

副作用について、感染症のリスクには十分気をつける必要があります。

周術期管理

半減期は10日である。安全のため4週明けつことが望ましい。

シムジア(セルトリズマブ ペゴル)

生物学的製剤 リウマチ注射治療薬

基本情報

2-4週間に1回の投与間隔で使用できる皮下注射製剤です(指導を受ければ自己注射もできます)。

投与初期は倍量使用が可能なため、症状の強い方には速やかな効果が期待できます。

「関節リウマチ診療ガイドライン2014」で、「胎児への影響リスクが低い」とされています(母体を対象とした試験は実施しておりません)。

リウマチ治療中の感染症・肺炎予防

リウマチ治療中の患者さんは、感染症・肺炎の危険性が大きいので、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)5年に1回受けてもらいます。

また、インフルエンザワクチンも毎年受けて下さい。

胸部レントゲンのチェック、血液検査は定期的に行います。

リウマチ治療中に服用してもらう肺炎予防の薬

バクトラミン(ST剤)

カビによる肺炎(カリニ肺炎)が日本では多発しており、死亡する危険もある肺炎です。

その予防のために、週2回通常1-2錠。

フォリアミンと一緒に飲んでもらいます。

(MTX週15mg以上の方、エンブレル・レミケード使用中の方は必須)

おなかに合わない、発疹が出るなどの場合は無理して飲まず、医師に申し出て下さい。

サルファ剤アレルギーの方は飲めません。

スティーブンス・ジョンソン症候群

バクトラミン(カリニ肺炎予防薬)、ロキソプロフェンやボルタレンなどの痛み止め、クラリスなどの抗生剤、抗リウマチ薬などすべての薬剤でスティーブンス・ジョンソン症候群(全身の皮膚・粘膜がただれる)という重篤な副作用を稀に起こすことがあります。

口唇、口腔、眼粘膜、外陰部などの粘膜に、発赤・ただれなどの異常を感じたら(特に同時に2ヶ所以上)、疑わしい薬品(特に新規に処方されたもの)をすぐに中止し、受診または電話再診を受けてください。

​参考

http://www.jseikei.com

生物学的製剤下の手術 酒井良忠 Clin Rheumatol,23: 156-161, 2011

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外科丸
​GEKAMARU
外科丸らは、主に下部の消化器外科を専門領域としています。
そして、「健康的であり、誠実に接し、満足感ある医療を提供する。」ことをモット―として日々働いています。
​​群馬県伊勢崎市にて
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