
私塾 外科丸学校
Private School Gekamaru Gakko

C型肝炎
C型肝炎ウイルス(HCV)の構造は、ウイルスの遺伝子(RNA)と、これを包んでいるコア(芯)、そして、一番外側を包む外殻(エンベロープ)から成り立っています。
C型肝炎ウイルス(HCV)に感染しているかどうかは採血して検査します。HCV抗体陽性の人の中には、「現在ウイルスに感染している人」(C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア))と「HCVに感染したが治ってしまった人」(感染既往者)とがいます。
このため、現在では、C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)とHCV感染既往者とを適切に区別するために血液中のHCV抗体の量(HCV抗体価)を測定することと、HCVのコア抗原を検出すること、および核酸増幅検査(NAT)によりHCV RNAを検出すること、の3つの検査法を組み合わせて判断する方法が一般に採用されています。
抗ウイルス療法
C型肝炎ウイルスを体の中から排除して、感染からの治癒を目指す治療法です。以前はインターフェロンと呼ばれるお薬を使った「インターフェロン治療」が用いられてきましたが、最近ではインターフェロンを使わない「インターフェロンフリー治療」が主流となっています。
●インターフェロンフリー治療
ウイルスに直接作用して増殖を抑える「抗ウイルス薬」を用いて、C型肝炎ウイルスの排除を目指します。飲み薬のみの治療であり、治療期間は3~6ヵ月間で、毎日お薬を飲み続けます。
●インターフェロン治療
インターフェロンとは、本来私たちの体の中で作られる蛋白質であり、体の防御機構を活性化させることでC型肝炎ウイルスの排除を目指します。注射薬のインターフェロン1剤だけではウイルスの増殖を抑える効果が不十分なこともあるため、抗ウイルス薬と組み合わせた治療が行われることもあります。
2017年9月にゲノタイプ1型~6型すべてに使用可能なパンジェノ型の新規経口抗ウイルス薬グレカプレビル/ピブレンタスビル配合錠が承認されました。この新規薬剤、および既存の各種IFNフリー経口抗ウイルス薬の有効性・安全性は極めて高く、初回治療例・既治療例ともにほぼ100%の症例でHCVの排除が可能となっています。ダクラタスビル+アスナプレビル併用治療の不成功例に対しても一定の有効性が得られることが明らかになりました。また、今まで大きな問題となっていた、IFNフリー治療によるHCVの排除後にIFN治療と同程度の発癌抑止効果が得られるかという問題についても、最近肯定的な報告が増えつつあります。しかしその一方で、治療不成功となった場合には複雑かつ難治な耐性変異が出現する可能性があり、初回治療のみならず再治療においても確実にHCVを排除することが私たち肝臓専門医に求められています。
以上より、今回の改訂第6版では、C型肝炎に対する抗ウイルス治療においてIFNフリー治療を行うことを原則とし、IFNフリーDAA治療不成功例における多剤耐性獲得などの特殊な場合を除いてIFNベースの治療は推奨しないこととしました。また、DAA治療不成功例への2回目以降のDAA再治療にあたっては、肝臓専門医が治療適応・方針を決定し薬剤を選択することを推奨しています。
参考