
私塾 外科丸学校
Private School Gekamaru Gakko

アナフィラキシーショック
原因
アナフィラキシーを引き起こす原因には、食べ物(卵、小麦、そば、ピーナッツ、エビなど)の摂取、虫さされ(昆虫刺咬症という。ハチ、アリ、ムカデなどが多い)、薬物(抗生物質、解熱鎮痛薬、造影剤など)、ラテックス(天然ゴム手袋など)があげられます。その他に、運動や寒冷、日光といった刺激によってもアナフィラキシーを生じることがあります。
(1)食品
食物アレルギーを引き起こすことが明らかな食品として、卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツ、えび、かにがあげられ、この7品目は食品衛生法において特定原材料として食品表示が義務づけられています。また、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、バナナの18品目についても、原材料として含まれる場合は可能な限り表示することが推奨されています。一般に食物アレルギーは乳幼児で発症することが多く、その後、年齢とともに減少していきます。食物アレルギーの特殊型として、原因食物摂取後に運動などの二次的要因が加わりアナフィラキシー症状をきたす食物依存性運動誘発アナフィラキシーという病態があります。小麦が原因となる場合が多く、運動により多量の抗原が吸収されるためとされています2)。
(2)虫さされ
アナフィラキシーを引き起こす可能性のある虫さされとしてはハチが最も代表的であり、中でもスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチが重要です。ハチ毒に対するアレルギー反応がない場合は、局所症状は数日で改善します。しかしながら、ハチに一度刺されてハチ毒に対する抗体ができている場合は、再度ハチに刺された後5~10分以内にアナフィラキシーを起こすことがあります。また、ハチ毒の成分は種類によって異なりますが、スズメバチ類とアシナガバチ類の毒成分は類似しているため、アシナガバチに刺された経験がある人は、初めてスズメバチに刺された場合でもアナフィラキシーを生じる可能性があります3)。
(3)薬
薬によるアナフィラキシーの多くは、ペニシリンなどの抗生物質、アスピリンなどの解熱鎮痛剤、医療機関で検査に用いられる造影剤などによるものです。また、薬を作るときに使う安定化剤などの添加物によってもアレルギーを起こすことがあります。この他、卵アレルギーのある人が塩化リゾチームを含んだかぜ薬を服用すると、アレルギー症状があらわれることがあります。これは交叉反応と呼ばれ、卵アレルギーのある人が塩化リゾチームに対してもアレルギー反応を起こすというものです。
(4)その他
ゴム製品でアナフィラキシーを起こす場合があります。ゴム手袋や風船などには天然ゴムが使われています。天然ゴムの原材料に含まれるラテックスというたんぱく質がアナフィラキシーの原因となります。また、もともと花粉症を持つ人が果物に対してもアレルギー反応性を示し(交叉反応)、口腔粘膜を中心とした浮腫、違和感を始めとする症状を生じることがあります。これを口腔アレルギー症候群と呼びますが、このような場合には果物のほかにラテックスにも交叉反応を示すことがあり注意が必要です。
対応

ベータブロッカー服用者の
アナフィラキシーショックでは、エピネフリンを使わずに、グルカゴン
を治療に使います。
アナフィラキシーショックの治療に使うエピネフリンは、筋注する。
通常は上腕(三角筋)で可であるが、より重症時には、大腿外側
(外側広筋)に筋注する。
コハク酸エステル型のステロイド注射薬(サクシゾンⓇ、水様性プレドニンⓇ、ソル・メドロールⓇなど)は、アスピリン喘息をはじめ、 アレルギー素因のある患者に投与すると、過敏反応を誘発することがあります。アレルギーのある患者にステロイドを投与する場合には、リン酸エステル型の薬剤(デカドロンⓇ、リンデロンⓇなど)を使用し、コハク酸エステル型の薬剤は使わないようにしましょう。